Diary亭日乗

くろすろーど企画展 越後しの個展

溝渕真琴
くろすろーど企画展 越後しの個展
月曜日、自分のお店の定休日。
前日自分のお店でイベントをやったばかりなので、
その片付けをしながら今日の予定を確認する。
午前片付け、昼ミーティング、午後母のギャラリーに荷物を届ける。
母のギャラリーでは越後しのさんの個展の最中である。
荷物を届ける用事が入ったのはとてもラッキーである。
これで堂々と長居ができる。
越後しのさんのファンなのだ。

私も普段蔵王の山の中でギャラリーとカフェを経営している。
そのぶん器などの接することが多く、
展示してある作家さんの器を実際に使って、
ランチや珈琲を提供している。
食べ物や飲み物を入れた状態で見てもらうことで、
手に触れ、重さを感じ、暖かさや冷たさを感じ、口をつけてもらう。
より作品を身近に感じてもらいたい。
これは、食事が生活に即したものだからこそできるアプローチだと思う
なにより人はお腹がすく。

でも、絵画となるとそうはいかない。
目からの情報しか入ってこない。
しかし
手法を変え、魅せ方を変え、絵画という表現方法は引き継がれている。
お腹はいっぱいにならない。
不思議なものなんだよなぁと思いながら山から車を走らせた。

南町通オープンギャラリーくろすろーど。
アーケード街から少し離れた、
裁判所の近くにある小さいギャラリーだ。
入口から奥まで見渡すことができる
中に入るとすでに来客がおり、楽しそうに歓談していた。

左側の壁にはモノクロの版画の小さい作品群が飾られていた。
右側にはこちらはカラフルな絵画と、
より小さなブロックに書かれた作品群があった。
進んでいくとどんどん大きい作品になっていき、
最後左手の壁には私の身長ほどの大きな絵画、
女の子が微笑んでいる絵に出会う。
作品の中に入り込み、囲まれていく感覚。
アクリル画など約50の様々な表情に次々と出会う。

女の子、子供、動物を描いた作品が多い、
かわいくて、とても幻想的なものばかり。
立体感はなく、繊細な細い線で描かれた輪郭、
それが少しダークな印象を感じる要素かもしれない。

しのさんご本人にもお会い出来てお話ができた。
展示を見た感想を、何か良くお伝えしたいと私から出た言葉が

「この作品、とてもハンサムですね」

それを聞いたしのさんは

「あなたハンサムだって!」

と、笑って絵画に話しかけていた
ホッとした。

最後帰るとき、しのさんに手を振っていただいたが、
その姿も本当にハンサムだったた。

入った時に歓談していたのは、
しのさんの作品をCDのカバーに使っている音楽家さんだとか。
会場でかけている曲であった。
音楽もお腹いっぱいにはならないが。
二つの出会いは私の胸をいっぱいにした。
この「いっぱい」になる感覚はとてもとても心地よかった。

この感覚が虜にし続けるのかもしれないと思った。