Diary亭日乗
民俗芸能講座第3回「浜の法印神楽と地域の祭礼」
民俗芸能講座第3回「浜の法印神楽と地域の祭礼」
先週実家の父親がうちにきた。
テーブルに置いたDiaryを見て
「お前、土日休みだな。3月28日のヤツ。俺の変わりに受けて来い」。と言い出した。
私の返事を聞かずに父は帰った。
とても疲れている。年度末は忙しい。仕事と家の往復の間にお付き合いも多い。疲れた。
「今日、必ず行けよ」。今朝父から電話がきた。しょうがない。
神楽なぞ興味がない。
せっかくの休みなのに。せっかく暖かいのに。
歴史なぞ興味はない。
会場の東北歴史資料館はコンクリート打ちっぱなしの建物だ。
この建物は歴史とはコンクリートのようにグレーで無味乾燥とでもいっているのだろうか。
会場に入る。父と同じ位の年齢層の方ばかりだ。
疲れのせいかコンクリートのせいか会場がグレーに見える。
講座が始まる。講師は神楽について語るのがとても楽しいようだ。
学校から帰ってきた小学生が母親に今日のできごとを話すようにいきいきとしている。
開始から15分。話が分からない。
レジメに獅子舞の文字。ノートに獅子舞を描く。画伯レベルだ。
学生のころ、私の歴史の教科書の偉人は全て鬚が生えていた。
講座も終盤。祭礼のようすを伝えるDVD。
打ち鳴らしと呼ばれる神を呼ぶ太鼓のリズム。
五月晴れ。3色の鯉のぼりと色とりどりの大漁旗が棚引く。
新芽萌える中、集落の女房立ちが荷を運ぶ姿。
神社の前。桜の木の下に紅白幕をひろげた祭壇。
その前で金色の顔をした緑の身体の獅子が舞う。
鮮やかな映像だ。
途中、講師がいきいきと湯入れ神事について話出した。
湯入れ神事は住民の小さな願い事を神様にお願いする神事だという。
小さいお願いごと。
それは、お嫁さんが欲しい。
子供が授かりますように。
家内安全、健康第一、商売繁盛、大漁祈願
なまなましい生活のお願いごと。
目の前の映像を見ながら私が違うものをみた。
想像の中の牡鹿地区。
主役はこの辺では一番のやり手ババア。
しっかり願いごとをきいている。
「あそこの家のお嫁さんにはあの娘っ子がいい」。とか
「精のつくもでも持って行ってあげよう」。
なんて下世話にお節介をやいていたのだろう。
生々しい歴史。人の息づかいやの匂いがしてくるようだ。
講座終了。
神楽をとおして見る歴史は鮮やかで生々しい。
色とりどりの人の営みが歴史をつくっている。と思った。
きっと歴史は見方によって色が変わるのだろう。
それは、過去だけではない、
今日の生活も同じように見方を変えれば色が変わる。
父はそれを私に教えたかったのかもしれない。
明日も休み。
今日の講座の報告がてら帰省しよう。
学校帰りの小学生のようにいきいきしながら報告しよう。