Diary亭日乗
すんぷちょ舞台公演「ひゃくねんモンスター」
岩松伸幸
すんぷちょ舞台公演「ひゃくねんモンスター」
宮城野区文化センターへ、舞台「ひゃくねんモンスター」を見に行った。
僕はこれまで舞台を見た経験が少なく、お遊戯会と学芸会を省くとほぼ無い。
そのまま舞台は見ずに人生を終える予定だったのだけど、
演劇と言う言葉に引かれたのと、
ある仕事を通して文化センターに縁があったので、このイベントに参加することにした。
なお、何が行われるのかは全く調べずに当日は向かった。
開場時間少し前に到着。チケット売り場を先頭に、子連れのお母さん達が列をなしていた。
程なく、座長らしき女性が設えについて解説を始めた。
曰く、
・チケット売り場を過ぎると架空の村がある。舞台開演まで90分ほど楽しんで欲しい。
・お店があり売買行為が可能、ただし両替所で「ぷちょ」という貨幣との両替が必要。
・館外でイベントがあるので是非楽んで欲しいこと。なお再入場には入村パスが必要。
との仰せ。どうやら普通の感じではない印象。話を聞いてニヤニヤする。おもしろそうだ。
ゲートが開放され、3000円を入村パスと交換。
入口すぎに両替所があり、レートは50円=1000ぷちょ。早速400円を8000ぷちょ変える。増えたのは数字だけなのだけど何故か大金持ちになった気分。
村内には、本物の八百屋やパン屋、人形劇や工作室もある、子供がやってる紙のお寿司屋さんや似顔絵展もあった。一番気になったのは、かわいい(であろう)女の子がフリーハグをしていたことだ。せっかくフリーなのだからハグしたいのだけど、恥ずかしいので遠慮してしまう。目線を送るとハグする結果になりそうで怖いから、こめかみ辺りのセンサーで存在を感じ取る。顔が見てみたい。が見れない。平安時代の貴族状態。
せっかくのぷちょも使わないと栞になってしまうので、曲がりネギやバナナ、イチゴ、ミカンを買う合計5000ぷちょ。八百屋で5000ぷちょは豪遊だ。とても気分がいい。
その後、少々買い物をし、野外の参加型ダンスを終えるといよいよ演劇の時間になった。
開演前に座長から子連れのお客さんに向けて、「子供がぐずっても気に病まなくてもいい、そういう想定で劇を作っているから」とアナウンス。大らかな場所を想定しているようだった。
劇中。子どもたちは客席と舞台の間を好き放題に移動するし、前列に多い知的障害者の方もフクロウの様な声を出している。が、演者さんもその合間を上手く狙って台詞を言ったりして、アドリブで劇が作られていく。
これはこれで素敵な場なのかもしれない、と、客観的に見ていたのだけれど、客観的に見ている時点で物語に集中する事が出来ず、話の内容が結局わからないということになった。
一般的に観劇のマナーとして、劇と他の観客の邪魔しない程度に静かにするのが正しいとされているけれど、主催者の設え次第で「静か」の幅は可変であることを体験した。そして、自分がいかに均質な特徴の人間の中に慣れ、神経が過敏な人間なのか、改めて気が付かされた。