Diary亭日乗
東日本大震災とミュージアム
岩松伸幸
東日本大震災とミュージアム
国連防災世界会議が始まる日ということで街は一段とお祭り一色。
勾当台公園には白いレンタルテントがいっぱいで、その間を消防車両と沢山の人達が埋めている。
三越の壁面には大きく印刷された防災会議のロゴマークが貼られ、より大規模なイベントであることを強調している。
生まれてから仙台を特に魅力的だと思ったことのない僕でも、他所からたくさんのお客さんが来るのは無条件に嬉しい。
ずっとその雰囲気が続けばいいのに、と思うけど数日後にはこの雰囲気はごっそりなくなる事を想像し、祭りの終わりを少し残念に思った。
防災会議関連のイベントはいくつかの会場に分散されており、
中でもせんだいメディアテークは1階から7階まで展示やイベント尽くしで大入の様子。
1階の「震災と復興パビリオン」はオープンスクエアを使った大規模な展示。
友人が多く参画しており、顔を見に立ち寄る。
晴れの日の彼らは疲労と達成と安堵がミックスされた表情をしていた。
近況報告と雑談を少し。
続いて2階の「東日本大震災とミュージアム」を見る。
仙台・宮城ミュージアムアライアンスがやっている、パネル展示。
メディアテークの柱を中心に、放射状に掲示板が並び、
左回りに読み進むと日本語のパネル、逆に回ると英語のパネルを読むことが出来る。
別で、展の趣旨と核施設の位置と被害状況を記した地図がある。
ピクトグラムがわかりやすく状況が把握できる。手が込んでいてカッコいい。
震災を各施設にどのような影響を与えたのか、時間軸を追ってその状況を説明していた。
予想以上の被害を受けた公共施設が少しづく回復して行くという大きな流れは、
だいたいどこでも語られることなので驚きはないのだけれど、
1つ1つの事例は個別特殊なので都度頭を切り替えて見ていく。
なかなかの文字の総量で、疲れてきてしまい途中で集中力が切れてしまった。
読んでも読んでも頭に入ってこないので、途中から流し読みになってしまった。
横に目をやると動物園用の飼料が二袋据えられていた。
全国の動物園から救援物資として送られた物のようで、
マジックで応援のメッセージが書き込まれていた。
文字を懸命に書き込み発送する情景や、
受け取った係の人の嬉しさや喜びがが目に浮かび目頭が熱くなる。
文字で情報を正確に伝えることも、もちろん大事なのだけど、
三次元の物の持つ伝える力はやはりケタ違いだなぁと感じた。
全部見終えてアンケートに答えると、提出箱の近くに冊子があった。
展示パネルを一冊にまとめた本で、かっこいい装丁がなされている。
流し読みした部分はこれで確認すればいいのか、と安心した。
最初にこの存在を知っていたら見方も変わったかもしれないな。