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生誕120年記念デザイナー芹沢銈介の世界展
山田衣純
タイトル(日本語)
生誕120年記念デザイナー芹沢銈介の世界展
詳細
春休みに入ったというのに、 小雪がちらついていて、まだコートが手放せない。 今日は、息子と東北福祉大学の芹沢銈介美術工芸館にやって来た。 キャンパスに美術館があるなんて、ちょっとヘンな感じ。 リュックを背負った学生さんに混じって、 息子と手をつないで坂を登る。 Diaryでこの展覧会を見つけて、 型絵染のワークショップがあるというので、楽しみにしていた。 この美術館はうちの近所なので、 散歩がてら何度か来たことがあるけれど、 あまり人気がない。 今日は珍しく、年配の人が多く、 染色家であり、デザイナーでもある芹沢銈介の仕事に見入っている。 型絵染で色とりどりに染め抜かれた着物の色合いが、 これからの季節にぴったりで、 着て帰りたいぐらいだった。 ちょうどこれと合いそうな帯が、 反対側に展示してあるから、帯もばっちりだね。 帯締めはどうしようかなあ、と妄想していたところ、 息子の「お腹空いた。」の声に目が覚めた。 展示室の片隅に、喫茶室があるのは知っていたけれど、 ここでコーヒーを飲むのは初めて。 店内は明るくて見晴らしが良く、 クッキーが思いのほか美味しい。 鳥に木にピアノ型のクッキーまであって、息子は大喜びだ。 上杉のクッキー屋さんが作っているらしい。 今度行ってみよう。 コーヒーを飲み終わると、ちょうど11時。 ワークショップが始まる時間だ。 いそいそとミュージアムショップに向かう。 白いハンカチに型紙を置き、 短い刷毛のような筆に絵の具を付けて、 とんとんと色を乗せていく。 型紙をどれにしようか悩んでいたら、 横で様子を見ていた息子が、「ぼくもやる。」と言い始めた。 ええ!? 私と違って、どういうわけか絵を描くのが大嫌いな息子。 幼稚園の絵の具の時間に、何度も脱走している息子。 その息子が、まさか自分からやりたいと言い出すなんて。 驚きを隠しつつ、あら、そうなの、と筆を渡す。 息子が選んだ型紙は、桜だった。 ええ!? 貝殻を選ぶと思っていたのに! さらに筆にピンクの絵の具を付ける。 ええ!? とにかく青が好きで、犬も真っ青に塗っていたのに! とまあ、何かと意外だったものの、 いちいちそれに反応するのもどうかと思うし、 慎重に色を乗せていく息子を、隣でそっと見守っていた。 あ。はみ出した。 あ。型紙がやぶれた。 あ。にじんだ。 気にはなるけれど、手は出さない。 息子のやる気が、何よりもうれしい。 いつも私の趣味に付き合わせてしまって、悪いなと思っていたから。 型紙をそっとはがすと、鮮やかな桜模様。 このハンカチでお弁当包んで、お花見に行こうね、 と約束して帰ってきた。
場所
東北福祉大学芹沢銈介美術工芸館
緯度・経度
38.27944834, 140.84750162
住所
宮城県仙台市青葉区国見1丁目8
制作年月日
2015-03-17
タグ
Diary亭日乗
芹沢銈介美術工芸館
登録者
山田衣純
最終更新者
山田衣純