「Diary」とは、アートと衣食住、個人と社会、ラジカルと成熟をつなぎ、既成の壁を穿つ萌芽を大切にする、仙台・宮城の出来事をノンジャンルに並べた街のドキュメント。このフリーペーパーを手にして毎日を過ごしてみたら、それは文字通り日記(ダイアリー)であり、文字通りノンジャンルの街のドキュメント(記録)になるはずです。

岩松伸幸
2015年3月14日〜18日まで第3回国連防災世界会議及び関連イベントが仙台市内で開催されました。

山田和佳子
「もう寝る」。テレビを見ながらピーナッツをつまむオットを後に不機嫌でリビングを出る。「おー。おやすみ」。オットは私の機嫌を気にしていない。不機嫌の理由はDiaryに山盛りにされたピーナッツの殻。夫婦になる前。私たちは、毎月Diaryにマルをつけて楽しみの予定を決め、Diaryを手に出かけた。オトコは結婚すると楽しみの地図を屑入れにしてしまうのか。3月22日(日)不機嫌な朝。「10時になったら...

山田衣純
私、なんで自転車で来ちゃったんだろ。曇り空の昼下がり、私は住宅街で途方に暮れていた。お昼前には、薬師堂に着いているはずだった。今日は月に一度の手づくり市。毎月8日に開かれるこの市が、ちょうど週末に重なることなんて、めったにない。薬師堂は初めてだけど、近くのお寺には毎年お墓参りに行く。地図は頭に入っているつもりだった。あの辺は、車も停めにくそうだし、自転車で行こう。そうだ。息子も連れてお弁当を...

沼田佐和子
もともと入っていた用事がキャンセルになって、急に時間が空いた。子どももおじいちゃんのうちに行く手はずになっているし、せっかくの自由時間、どこかに行ってみようかなとDiaryを眺めていたら、うってつけのイベントを発見した。ネットで調べてみると、竹下景子さんの朗読で、被災者のメッセージを聞ける催しらしい。バイオリンやピアノの演奏があったり、被災地を描いた絵が見られたり、盛りだくさんな感じ。地震の...

山田衣純
嫌な予感はしていた。私の向かいに、60代ぐらいの男性が、どかっと腰を下ろした。しばらくすると、彼は居眠りを始めた。しょうがないなあ、とため息をつきながら、レジュメを目で追う。うっかり目を離すと、話のスピードについていけない。  今日は、東北大学が主催するリベラルアーツサロンにやって来た。東北大学の先生の講義を聞いて、一般の参加者が話し合うこの試みは、月に一度、様々なテーマで開かれて...

山田衣純
県南に住む友人から、講演会の案内をもらった。彼女は、「みんなの放射線測定室てとてと」という市民測定室のメンバーの一人。震災後、県南の農家の人たちが、自分たちのつくった野菜を安心して食べてもらうために立ち上げたこの測定室は、野菜をつくる農家の人たちと、野菜を買うお客さんたちの、交流の場になっているとも聞いている。お互い忙しくて、あんまり会えないけれど、講演会に行けば、久しぶりに彼女の笑顔を見ら...

板垣マリ子
いい天気。何も予定が入っていないので、Diaryを見ると、東北歴史博物館でれきはく講座というものが開催されると書いてあった。れきはく講座?どんなだろう。ちょうど、歴史博物館が大好きな子供もいたので、一緒に参加してみる事にした。博物館に到着。以前来たときには、入場料を払ったので、今回も払おうと受付に行くと、なんと、れきはく講座は無料で見れるという。一階の常時展示室を見る時だけ払う形なのだそうだ...

山田衣純
少し早く着いてしまった。一人で美術館に来たのはいつぶりだろう。いつもなら、着替えやお弁当や水筒の入ったカバンを肩にかけて、走る息子を追いかけて、受付を素通りし、カフェの奥にある創作室に向かう。大工に憧れている息子は、木工用の道具が揃っている創作室が、大のお気に入りだ。朝から夕方まで、入り浸ることもある。今日は珍しく夫が休みで、一人で出かけてきたら、と言われたものの、あいにくの雨。街中をぶらつ...

岩松伸幸
日曜日だけど早めに起きた。Diary掲載イベント、秋保の民話語りを聞きに行く。秋保というだけで小旅行気分。最近は少し暖かくなってきたし、道中の景色も楽しめる。これで花粉がなければ最高なんだけれども。北仙台から中山を越え葛岡を経由して秋保へ。道中大きい道路を通る。スーパーカブ50だとスピードが出せないので周りの車に気を使ってしまう。台湾のように原付き専用レーンがあればいいのに。予想より早く秋保...

岩松伸幸
僕はアートが苦手だ。苦手ではあるけど、風景画や絵巻物、焼き物なんかは大丈夫で、きれいな景色だなぁとか、この器に料理を盛ったらさぞ素敵だろうとか、想像が膨らんで楽しい。一方で幾何学模様の絵とか、文脈の分からない詩なんかはダメだ。作品自体がよくわからないし、せっかく見たのだからその内容を理解しようと深追いし、解説を読んでもピンと来ず、時間を無駄にした感じさえ持つことがある。きっと、目にした作品の...

岩松伸幸
昨夜は夜更かし、目覚ましをかけず起きた。iPhoneを見ると11時。予定まで時間があるから、もう少し布団の底なし沼を楽しめる。昨日洗ったシーツが気持ち良い。幸せ。今日は東北歴史博物館の民俗芸能講座へ。テーマは「神楽本を通してみる浜の神楽」。Diaryに載っていて、なんとなく気になったから行くことにする。よくわからないけど、きっと楽しいことがあるだろう。いそいそ沼から出て、朝風呂。納豆ご飯。身...

板垣マリ子
3月最後の日。すごくぽかぽか陽気で、外に出掛けないともったいない!でも、なにも予定がない、と何気なくDiaryを見てみたら、竹駒神社でお祭りがある!これは行ってみよう!という事で、子供と一緒に電車で行ってみる事にした。地元から竹駒神社がある岩沼市まではすごい遠いと自分の中でイメージがあった。(多分それは、車で行くとバイパスを通らないといけないのと、渋滞が多いからそう思っていたのだろう)でも、...

板垣マリ子
7日の土曜日。何も予定がなかったので、Diaryを見ると、登米市で創作劇が行われるとのこと。ネットでも調べてみると、地域の人達が作って演じる創作 劇で、登米市の近代医学に貢献した人が題材らしい。ここに行ってみよう!と思い立ち、早速行き方を調べた。すると地元から結構、いや、かなり遠い。でも、 久々の電車で遠出、というか小旅行だ!と思い切って子供と出かけることにした。?午後から出発。(今考えると...

門傳一彦
このタイトルはインパクトがあった。「狼と熊の獲り方」。狩猟免許を持ってる知人もおり、ちょうどこの手の話題が気になっていた所だったので、国府多賀城という重厚な名前の駅にある東北歴史博物館に赴いた。話をするのは歴史博物館の職員さん。初めは現代行われている熊猟について写真で紹介があったのだが、だんだん狩猟技術の説明という雰囲気ではなくなってい く。結論から言うと、「獲り方」の説明ではなく「獲り方の...

山田衣純
今日はメディアテークのカフェで、早めの晩ごはん。インドネシアチャーハンは、ナンプラー味のチャーハンにパリパリした麺と目玉焼きが乗っていて、食感が楽しい。よく混ぜた方が美味しそうなので、スプーンで目玉焼きを刻んでいると、オープンスクエアでサイエンスカフェというイベントが始まった。東北大学の先生が、月に一度、自分の専門分野について講義し、テーブルごとに参加者が意見を述べ合うサイエンスカフェ。カフ...

岩松伸幸
宮城県美の美術館講座へ。シリーズ講座の2回目で、前回も参加した。その時はおじいちゃんの先生が戦争直後の日本美術界のいろいろを話してくれた。「戦後は貧乏だったけどエネルギッシュで自由だった。」と言う話を聞いてなんとも羨ましかった。僕に見える範囲の前代は貧乏な上につかれていて不自由な気もしたけど、自分がそうだというだけかもしれないと感じた。今日はどんな話が聞けるのだろうか。カブで荒巻から北山トン...

山田衣純
広瀬通にある市民活動サポートセンターは、表通りの喧騒とは全くの無縁で、いつも静かな空気が流れている。今日は「伝える学校の発表会」の初日。震災をきっかけに始まった、市民団体と仙台市の協働プロジェクトで、震災の記憶を様々な形で伝えている。友人が、その中の一つ、「街からの伝言板」という市民参加型のプログラムに関わっていたので、もともと興味はあった。今回、Diaryにも掲載されて、他のプログラムの取...

今日はちょうど何も予定が入っていないので、以前ターンアラウンドに行った時に見かけた、樋口佳絵さんという画家の個展を見に行くことにした。その名前を見かけたのは、以前会場に行った時にあった、今後の展示会の予定のチラシだった。そのチラシに載っていたのが樋口佳絵さんの個展のお知らせ。私は絵に関して詳しい事はわからないので、難しい事は言えないが、まず、驚いたのは絵に描かれている人間たちの表情だった。パ...

板垣マリ子
13日の金曜日。何も予定がない日だったので、Diaryを見ると、宮城レポートというイベントが行われていると書いてある。ちょっと行ってみよう、と思い立った。途中から、スマホのナビを使いつつ、無事会場に到着した。 恐る恐る入り口のドアを開け、中に入ると、私の頭の中にあった美術の個展のイメージは根底から 覆された。入って右側の壁一面に、半分くらい錆びたトタンの板が展示してあり、反対側の壁には椅子が...

岩松伸幸
昼過ぎに人と会う為に街に出た。
待ち合わせの場所で待っていると、スタッフジャンパーを着た女子大生風2人に声をかけられた。付箋を渡され震災に関してなんでもいいので言葉を書いて下さいと頼まれた。書きたい事も特になく、誰に向けられたメッセージなのか掴めないのだけれど、懸命に声をかけた努力に応えるために言葉をひねり出した。震災は体験していないのでもっとよく知りたいです。みたいなことを書いた。毎年3月...

山田和佳子
「いってらっしゃい」。
家族を職場と学校に送り出した。3月13日午前8時30分。
「よし」。今日は久しぶりの平日の休日。誰かのための休日ではない。お母さんの休戦日。
今日は何して過ごそう。どこに出かけよう。洗濯物干しで気持ちにストップ。
小雪が舞っている。家でのんびり誰にも邪魔されず編み物も悪くない。
でも、一回でもいい今シーズンのお気に入り、グレーのムートンブーツと紺のダウンコートで街を歩...

山田衣純
しばらく続いていた雨が止み、今日は久しぶりに良いお天気。ドライブ日和だなあ、と洗濯物を干しながら、空を見上げた。海なんてどうだろう。一番近いのは松島かな。そういえば、松島で何か展覧会をしていたような…。お昼ごはんのオムレツを食べながら、Diaryを広げた。あった、これだ。「気持ちを繋ぐおくりもの展」。会場の藤田喬平ガラス美術館のHPを見ると、ゆるやかに波打つ藍色のオブジェの写真。週末の小旅行...

岩松伸幸
国連防災世界会議が始まる日ということで街は一段とお祭り一色。勾当台公園には白いレンタルテントがいっぱいで、その間を消防車両と沢山の人達が埋めている。三越の壁面には大きく印刷された防災会議のロゴマークが貼られ、より大規模なイベントであることを強調している。生まれてから仙台を特に魅力的だと思ったことのない僕でも、他所からたくさんのお客さんが来るのは無条件に嬉しい。ずっとその雰囲気が続けばいいのに...

板垣マリ子
今日は、仙台市青年文化センターで行われる、アトリエ公開制作、というイベントに行ってみることにした。ちょっと用事を済ませてからだったので、15時過ぎに会場の前に着いた。中に入ると、イベントの看板を発見。早速階段を昇ると、奥にあるアトリエに入った。そこには、いろいろな木の塊がおいてあった。そして、奥には今回の主役である伊達伸明さんを中心に集まって、お茶会、いわゆる『お茶っこのみ』をしていた。私と...

岩松伸幸
宮城県美、美術館講座へ。4回連続講座の3回め。3回目になると、だんだん通う道に飽きてくる。同じ道を通ることを避けたい。「三角食べ」じゃないけど、おかずか汁物か何かしら変えないと飽きる。遠いわけじゃないので選択肢は限られるんだけど、なるべく通ったことのない道、頭の中の地図のぼんやりしている方角へ、えいや!とウインカーを切る。上手くこれが出来るととても気分がいい。たとえ行き止まりだったとしても。...

山田衣純
「博多人形のガラスケースやね、入れ歯用のケースのご注文をいただくこともあるんですよ。よそのギャラリーの人としゃべってると、全然ちがうなあ、と思って。」須田さんは、コーヒーを淹れながら、穏やかに笑う。石巻市内の商店街アイトピア。履き物屋さんに、仕立て屋さん、昔ながらの商店が並ぶ中、これまた江戸時代から続く陶器店「観慶丸本店」の向かいに、イベントスペース「カンケイマルラボ」はある。昨年の4月にオ...

岩松伸幸
防災会議で盛り上がるせんだいメディアテーク。「せんだいデザインリーグ活動記録2003-2005」を見に来た。別で書いたパネル展示「東日本大震災とミュージアム」の隣がこの展示。横に5メートルほど移動すると即会場に着く。メディアテークの柱の周りに設えられた会場を一周する。おそらく2〜3分。正面に過去の優勝者へのインタビュー動画が流され、その隣に各年度の書籍が並び回覧できるようになっていた。そこか...

溝渕真琴
月曜日、自分のお店の定休日。前日自分のお店でイベントをやったばかりなので、その片付けをしながら今日の予定を確認する。午前片付け、昼ミーティング、午後母のギャラリーに荷物を届ける。母のギャラリーでは越後しのさんの個展の最中である。荷物を届ける用事が入ったのはとてもラッキーである。これで堂々と長居ができる。越後しのさんのファンなのだ。私も普段蔵王の山の中でギャラリーとカフェを経営している。そのぶ...

沼田佐和子
得意な科目は古文。源氏物語も井原西鶴も好きだし、落語とか、歌舞伎とかも、気になって見に行っている。古典は、かれこれ10年来の私の趣味だ。うんちくを述べられるほどじゃないけど、好きな文学や良かった舞台については熱く語っちゃうような、それくらいの古典好き。にもかかわらず。なぜかお能だけは、一回も見たことがなく。ずーっと、心の片隅に引っかかっていた。お能、見なきゃ!みたいな、使命感とともに。そんな...

山田衣純
「希望の牧場」を知ったのは、去年の夏。たまたま通りがかった勾当台公園で、子ども向けのカリンバ作りワークショップに参加した。隣のテントで売っていたコーヒーを飲みつつ、子どもの工作に付き合っていたら、ステージで演説が始まり、どいうやらこのテントの群れは、脱原発集会らしいということに気付いた。あー、場違いなところに来ちゃったな。でも、工作が終わるまで、ここから離れるわけにもいかないし、興味があるよ...

山田衣純
春休みに入ったというのに、小雪がちらついていて、まだコートが手放せない。今日は、息子と東北福祉大学の芹沢銈介美術工芸館にやって来た。キャンパスに美術館があるなんて、ちょっとヘンな感じ。リュックを背負った学生さんに混じって、息子と手をつないで坂を登る。Diaryでこの展覧会を見つけて、型絵染のワークショップがあるというので、楽しみにしていた。この美術館はうちの近所なので、散歩がてら何度か来たこ...

山田和佳子
3月24日AM9:15姉からの電話。「今日お茶しない?午後1時に松島の瑞巌寺で待ち合わせいいかな」。語尾は優しいが内容は強引。「何かあるの?」「瑞巌寺杉道市。一緒にどう?」「どうって。」夫は久しぶりの平日の休日。4歳のこどもと3人で過ごしたい気もする。「行っておいで」。夫がこどもとじゃれながら手を振る。「ママいってらっしゃい」。こどものはしゃぐ声。断る理由がなくなった。「わかった。1時ね」4...

岩松伸幸
宮城野区文化センターへ、舞台「ひゃくねんモンスター」を見に行った。僕はこれまで舞台を見た経験が少なく、お遊戯会と学芸会を省くとほぼ無い。そのまま舞台は見ずに人生を終える予定だったのだけど、演劇と言う言葉に引かれたのと、ある仕事を通して文化センターに縁があったので、このイベントに参加することにした。なお、何が行われるのかは全く調べずに当日は向かった。開場時間少し前に到着。チケット売り場を先頭に...

山田衣純
「こみち弁当売り切れ。グラノーラ完売。」新寺こみち市で人気のお店「豆キッチン」のブースの前には、ぺらっと張り紙がしてあった。ああ。やっぱりもっと早く家を出ていれば良かったのに。息子の遊びに付き合っていたら、こんな時間に。でも、市が始まるのは10時から。今、10時半。30分で売り切れなんて、一体、どんな争奪戦が繰り広げられていたのか。さらに、黒板に書かれたメニューを見て、がっかり感倍増。大根と...

ざわざわした雨の気配で起きる。雪まじりだと嫌だなぁ。カーテンの向こうをのぞくとコンクリートが濡れている。面倒だけど、雪よりは良い。普段の移動は原付なので、雨降りだとかっぱを着なくてはならない。そして、雪だと原付自体に乗れなくなり、その上電車やバスに乗らなくてはならない。どうも電車の人たちが一様に心のシャッターを下ろしている感じが苦手だ。なるべく近寄らないようにするけど、雪はそれを強いるので、...

先週実家の父親がうちにきた。テーブルに置いたDiaryを見て「お前、土日休みだな。3月28日のヤツ。俺の変わりに受けて来い」。と言い出した。私の返事を聞かずに父は帰った。とても疲れている。年度末は忙しい。仕事と家の往復の間にお付き合いも多い。疲れた。「今日、必ず行けよ」。今朝父から電話がきた。しょうがない。神楽なぞ興味がない。せっかくの休みなのに。せっかく暖かいのに。歴史なぞ興味はない。会場...