同人誌や個人誌など、仙台・宮城における非商業系・独立系の雑誌類を「グラスルーツ・マガジン(草の根雑誌)」と名付けてみます。こうした刊行物は散逸してしまったり存在そのものが伝わらないことも少なくありませんが、この街の同時代を示す重要な表現活動のひとつに他なりません。 今回は「文芸」をテーマにし、1945年以降に発行されたものを中心に仙台文学館が所蔵する資料や各誌の発行人の声を記録します。

インタビュー:雫石隆子(しずくいし・りゅうこ)さん〈『川柳宮城野』主幹〉◆『川柳宮城野』は「川柳宮城野社」が毎月発行する川柳誌。1947年(昭和22)に濱夢助(はま・ゆめすけ/1890~1960)が創設した「川柳宮城野社」の同人・会員の作品を中心に掲載する。会員は約700名。現在は川柳作家の雫石隆子さんが主幹を務める。◇『川柳宮城野』は昨年(2014年)5月で800号になりました。創刊が終戦...

インタビュー:高野ムツオ(たかの・むつお)さん〈俳誌『小熊座』主宰〉◆『小熊座』は俳句結社「小熊座俳句会」が発行する俳誌で毎月発行。1985年(昭和60)に佐藤鬼房(さとう・おにふさ/1919〜2002)が塩竈市で創刊した。現在は高野ムツオさんが後を継いで主宰している。発行所の所在地は多賀城市。◇『小熊座』という、60ページ前後の俳句雑誌を毎月発行しています。塩竈市に住んでいた俳人の佐藤鬼房...

インタビュー:佐藤通雅(さとう・みちまさ)さん〈短歌・評論誌『路上』主宰〉◆『路上』は、歌人・評論家である佐藤通雅さんが発行する個人誌。1966年(昭和41)に個人編集誌として創刊され、佐藤さんら歌人たちの作品や、佐藤さんの短歌論、社会批評などを掲載してきた。年2〜3回の発行を続け、2011年に第120号をもって一度終刊。現在は主に佐藤さんの作品と評論を発表する個人誌として、第II期『路上』...

大泉浩一
このアルバムでは同人誌や個人誌など、仙台・宮城における非商業系・独立系の雑誌類を、大きく「グラスルーツ・マガジン(草の根雑誌)」とくくって記録して行きます。対象は主に戦後、1945年(昭和20年)以降に編集・発行された逐次刊行物です。 最初のテーマは《文芸》です。 地域で発行される雑誌の数が多く、それぞれの雑誌に関わる人の数も多いことから、地域の文化を記録する上でその存在は欠かせません。しか...

インタビュー:渡部直子さん(仙台文学館 主任・学芸員)  仙台文学館では主に仙台・宮城で発行されている文芸誌を、発行団体や発行者にご寄贈をいただいて収集・所蔵しています。その多くは短詩型である短歌、俳句、川柳の会員誌です。創られる方の多くは先生に学び、また会員同士で切磋琢磨なさっています。会員の作品の中から先生の選を通ったものを集め、あわせて会員外にも発表することが、発行の主な目的...

インタビュー:仙台白百合学園高等学校 文芸部〈部誌『紫苑』発行〉◆仙台白百合学園高校の文芸部は、毎年1回部誌『紫苑』を発行している。創作だけでなく、インタビューや研究レポートなどの特集も充実した「総合文芸誌」だ。顧問の平井みどり先生は、『紫苑』が現在の形になった2003年から指導にあたっている。◇私が編集に関わった初めての『紫苑』は、2003年(平成15)3月に発行した36号です。2名しかい...